香港は、もともとイギリス領でしたから、欧米と同じようにチップを払うべき、という意見を目にすることがあります。
しかし、今現在の香港は中国に返還されていますから、必ずしもそうとは言い切れません。
実際のところ、香港のホテルでチップは必要なのでしょうか。
まず知っておいていただきたいのが、香港のホテルでは、日本の一部のホテルと同じように、10パーセント程度のサービス料があらかじめ設定されており、普通に会計をするだけでチップに該当する金額を支払うことができる、ということです。
ところが、そのようなホテルであるにも関わらず、会計伝票に、「Gratuity」(チップの意味)などという欄があるホテルもあります。
サービス料をあらかじめ上乗せすることのない欧米では、この欄に任意の金額を記入して渡すことになりますよね。
しかし、香港はそうではありませんから、支払うつもりがなければ、その欄を線で消すか、何もせずにただ記載のある額だけを合計欄に書いて会計をすればいいのです。
ただ、ホテルで特別素晴らしいサービスをうけたり、請求金額がキリの悪い数字だったりして、支払ってもいいかな、と思った場合には、もちろん、記入しても構いません。
もらえれば嬉しいし、もらえなくてもどうということはない、というのが、香港のチップ事情なんです。
ただし、気を付けたいのがホテルのトイレを利用する場合です。
部屋のトイレは連泊する場合でなければ気にすることはありませんが、もし、宿泊先以外のホテルのトイレや、ロビーのトイレなどを利用しようとした場合、香港では清掃員が常駐していることがよくあります。
そういう場合は、その人にHK$2〜5程度のチップを渡しましょう。
また、ポーターにはHK$10程度のチップを渡す場合もあります。
これは、渡さないとなかなか部屋を出ない、などといった問題が起こる可能性もありますから、面倒なら渡してしまった方がいいかもしれません。
しかし、宿泊代金にサービス料が上乗せされている場合、特別なサービスを受けたわけではない場合にはチップは不要ですから、渡さなくてはいけないということはありません。
丁重にお礼を言って扉を開けることで意思表示をすることができます。
このように、当然、チップを支払わない=お礼をしなくていい、ということではありません。
受けたサービスには言葉でお礼を言えば良いのです。
それ以上の特別な感謝を示したい場合には、HK$5〜10程度のチップを渡すようにすると良いでしょう。